Netflixで公開中の「極悪女王」が話題となっています。
「極悪女王」は、ゆりやんレトリィバァさん演じるダンプ松本さんのヒールレスラーとしての半生を描いた物語。
実話を元に、ダンプさんの壮絶な生い立ちや激しい流血試合の再現など、見所がたくさんありますが、どこまでが実話でどこからフィクションなのかも気になるところ。
ドラマを盛り上げるために、多少のフィクションも盛り込まれていますが、事実と比較して、どこがフィクションであったかを比較考察10選をまとめました!
(※ネタバレを含みます)
【極悪女王】どこまで実話でどこからフィクション?
ドラマ・極悪女王では、ダンプ松本さんを始め、モデルとなった人物の名前や団体名など、実在のものと同じ名前で登場。
ダンプ松本さん、長与千種さん、ライオネス飛鳥さんなどの女子プロレスラー、そして全日本女子プロレスの創業者である松永高司社長やその兄弟、レフェリーの阿部四郎さん、そしてダンプさんのご家族なども実在します。
ストーリーの大筋となるところは実話ですが、細かい演出部分などはフィクションも交えています。
次項では、どこまで実話でどこからフィクションなのかを、詳しく紹介したいと思います。
フィクションと実話を比較!徹底検証10選
検証① 腹違いの妹はいた?
ドラマのシーン
幼ないダンプ松本こと松本香が、母親と一緒に父親の別宅に乗り込むシーン。
そこには父親の愛人と赤ちゃんがおり、父親はその赤ちゃんになんと「香」と、香と同じ名前を名付けていました。
ショックを受けた香はその場を立ち去りますが、その直後にプロレス出会い、若き日のジャッキー佐藤のへこたれない姿を目の当たりにして、憧れを抱くシーンへと続きます。
ダンプ松本さんに、腹違いの妹がいたというのは実話です
ダンプさんのお母さんは、夫と愛人が川崎に住んでいることを聞きつけ、当時6歳だったダンプさんと、3歳だった妹の広美さんを連れて「別宅」へ乗り込みます。
幼かったダンプさんは状況を理解しておらず、当時は親戚の家にでも遊びにきたくらいに思っていたそうです。
父と母、そして愛人の女性がなにやら話し合いをしているのを横目に、妹さんと2人で赤ちゃんをあやしていたのだとか。
大人になってから、その赤ちゃん「香」が腹違いの妹だったと知った時は「同じ名前までつけて、ふざけんな」と思ったと、ダンプさんは語っています。
家族の中でこの話はご法度というわけでなかったようで、後に父親が家に戻って家族と過ごしている時、ダンプさんと妹さん、お母さんの3人がその時の話を父親の前で話すこともあったそう。
父親は「(愛人と赤ちゃんが)元気かなあ」とボソッと呟いたりもあったのだとか。
お母さんも「たぶんもう他の人と結婚して幸せになってると思うよ」「私とさっさと離婚してあっちにいってくれれば良かったのに」と、話していたのだそう。
父親の愛人は1人や2人ではなかったそうで、もしかしたら他にも隠し子がいる可能性もあります。しかしそれはダンプさん自身も語っていないことですので、真相は不明です。
検証② 家の壁が崩れたのは?
ドラマのシーン
父親が家に帰ってきて再び一緒に住むようになり、香がプロレスラーを目指していることを父が反対するシーン。
母や香に手をあげ、怒った香は父親を突き飛ばしますが、勢い余って壁が崩れて父はトラックの荷台に落ちてしまいます。
実際は壁ではなくガラスが割れた
ドラマではドリフのコントのように壁が崩れ、ちょっと面白いシーンのようになってしまっていましたが、おそらくこれはフィクション。
実際には、ダンプ松本さんが幼い頃、父親が酔っ払ってお母さんを殴ろうとした時に、父は勢いでガラス窓を叩き割ってしまったのだそう。
殺したいほどに父親を憎んでいたというダンプさんは、ガラスの破片が腕に刺さって血だらけになっている父を見て、「このまま放っておけば死ぬから救急車は呼ばないで」と本気で思ったと語っています。
検証③ 父は心臓が弱かった?
ドラマのシーン
父が母とともに病院で検査結果を聞くシーン。父はいつ心筋梗塞を起こしてもおかしくない状態だと医師に告げられています。
そしてある日、父の危篤を知らされて香は病院へ駆けつけますが、もう死ぬと思っていたら予想に反して手術は成功。
父が助かったことに母と香は安堵しますが、「死なねえのかよ!」という香に対して、母は「首にチェーン巻いてきて!」と冗談を飛ばし、ここもちょっと面白シーンになっています。
実際は、心臓が悪かったのは嘘?
お父さんは「心臓が弱いので40歳くらいで死ぬ」と言っていたのだとか。
ダンプさんが幼い頃、家にお金を入れない父親に対して、なぜ働かないのか聞くと「心臓が悪いから」と言い、家には怪しげな大型の治療用機械のようなものを置き、治療する素振りをみせていたそう。
父を憎んでいたダンプさんは、40歳で死ぬならそれまで我慢しようと思っていた、と言います。
しかし実際、お父さんは比較的長生きで、87歳で亡くなったことからも、ダンプさんは、今思えば心臓が悪かったというのは全部嘘だったと思う、と語っています。
検証④ パン屋で働いていた?
ドラマのシーン
高校を卒業後にお母さんの口利きで、パン屋さんに正社員として就職。
しかし、悩んだ末にどうしてもプロレスラーになりたかった香は、パン屋を辞めて全日本女子プロレスのオーディションを受けにいきます。
実際は、目黒の本屋でバイトしていた
中学の頃から、女子プロレスラーになることしか頭になかったダンプ松本さんですが、進路を決めるタイミングで女子プロのオーディションを受けられずに、しかたなく高校へ進学しました。
大宮開成高校を卒業後、1979年に念願の全日本女子プロレスへ入門しました。
↑全女の道場があった場所(今は駐車場となっている)
ドラマでは少し葛藤があったように描かれていましたが、実際には中学の頃から女子プロを目指すという意思は強かったようです。
しかし、入門したとてデビューするまでは無給。
実家から道場まで通うには交通費もかかり、道場に近い目黒の本屋さんで午前中はアルバイトをしていたそうです。
検証⑤ 実はマッハ文朱ファン?
ドラマのシーン
幼かった香は、たまたま全日本女子プロレスの練習風景を見て、ジャッキー佐藤に憧れるシーン。
香は、ビューティ・ペア(ジャッキー佐藤&マキ上田)の大ファンになります。
物語では、ビューティペアに憧れて女子プロレスを目指し、ジャッキー佐藤を“憧れの先輩”として一貫して描かれています。
実際は、マッハ文朱にも夢中に
もちろんダンプ松本さんは、ビューティ・ペアのジャッキー佐藤さんにも憧れて、女子プロを目指したのも事実。
しかし、ビューティ・ペア結成よりもすこし前、初のアイドルレスラーとして人気絶頂だったマッハ文朱(ふみあけ)さんが、試合に負けて泣きながら「花を咲かそう」を歌っている姿をテレビで見て、衝撃を受けたのだとか。
マッハ文朱さんは、史上最年少の16歳でWWWA世界シングル王座を獲得。
ダンプさんはマッハさんをきっかけに女子プロに夢中になって、テレビ中継はもちろん、地元近くで試合がある時は会場へ行き、自分も女子プロレスラーになるしかないと思うようになったそうです。
検証⑥ 本当は松永五兄弟?
ドラマのシーン
全日本女子プロレスの幹部に、社長・松永高司(演・村上淳)、副社長・松永国松(演・黒田大輔)、専務・松永俊国(演・斎藤工)の松永兄弟が登場します。
この松永兄弟、ドラマ上は3人しかでてきません。
- 社長・松永高司…三男
- 副社長・松永国松…四男
- 専務・松永俊国…五男
実際は、経営に携わった松永一族はもっといる
全日本女子プロレスは、松永家による同族経営。三男の松永高司氏が中心で、4人の兄弟と親族が役員でした。
松永家には、
長男:名前不明、経営に関わっていない
次男:松永健司 – 副会長
三男:松永高司 – 会長
長女:吉葉礼子 – 元レスラー
次女:山口洋子 – 元レスラー
四男:松永国松 – 解散時の社長
五男:松永俊国 – 元社長
の兄弟姉妹がいます。
三男の松永高司氏は、1968年に万年東一氏と「全日本女子プロレス」を旗揚げして社長に就任。万年東一氏の辞任後は会長を歴任しました。
このほかにも、配偶者や子女、親類も、元レスラーであったり経営に携わっていました。
ちなみに、「極悪女王」ドラマ内で社長がやきそばを売るシーンがあります。
実際に、地方興行やガレージマッチでは、松永社長が自ら出向いて焼きそばを作ることでも有名だったのだそうです。
検証⑦ 長与千種はリング下に住んでいた?
ドラマのシーン
唐田えりかさん演じる長与千種は、全女に入門した当初は住む場所がなく、道場のリングの下でこっそり寝泊まりしていました。
一家離散になり、親戚の家をたらい回しにされ、住むところもないという千種。会いにきた両親に対しても冷たい態度を取っていました。
実際は、合宿所に住んでいた
長崎出身の長与千種さんは、中学を卒業後に別枠で入門テストを受け、1980年に全女に入門。
東京近郊に住む練習生はデビューするまで入寮できませんでしたが、長崎から上京した長与さんは、合宿所に住めることに。
しかし、道場の屋上にあった合宿所は、焼け跡に残ったようなトタン屋根のバラックだっといいます。
ご両親は出稼ぎに出たため、4年間で親戚の家を5軒たらい回しにされましたが、その後、父の妹夫婦の家に預けられてからは「家族の一員」として優しく扱われたのだそうです。
検証⑧ フォークは逆で刺した?
ドラマのシーン
ドラマで最大の見どころでもある、ダンプ松本VS長与千種「髪切りデスマッチ」のシーン。
ここまでやるか!?というほど再現度の高いシーンで話題になりました。
ダンプ松本はハサミやフォークなどを使用して、長与千種を血塗れにするこのエピソードは衝撃的でした。
実際は、フォークの柄の方で刺している
ドラマでは、フォークの歯の方を使用していましたが、実際のダンプ松本VS長与千種「髪切りデスマッチ」では、フォークの柄の方を使用していました。
また、かなり短く持っているため、本当に刺していたかは疑わしいところ。
ヒールを演じるものの実は優しいダンプさんなので、大事には至らないギリギリのところでパフォーマンスをしていたのですね。
ちなみに、ダンプさんは憎まれるためにわざと凶器を使用していました。
凶器を使ったパフォーマンスでは会場は盛り上がり、ダンプさんは憎まれて相手レスラーは人気が上がります。
機嫌の悪い時や嫌いな相手の時は、凶器を使わない正統派のレスリングをして、相手に人気がでないようにしていたという逸話もあります。
検証⑨ クレーン・ユウは優しいから切った?
ドラマのシーン
同期のクレーン・ユウこと本庄ゆかりは、ダンプ松本とともに悪役軍団「極悪同盟」を結成。
しかし、ヒールはヒールに徹するダンプ松本のやり方などにブチギレて、レスリングを引退しレフェリーに転身します。
ヒールやベビーフェイスの関係、試合の勝敗など、しがらみばかりの女子プロレス界。
そんな世界から開放されて、レフェリーとしてプロレスに関わる方が性に合っていたと最後に語るシーンは印象的です。
実際は、優しすぎて追放
クレーン・ユウさんは、ジャパングランプリ公式戦のダンプ松本VSクレーン・ユウの壮絶な流血試合のあと引退。
それはおそらく会社の意向?で、知らぬまに「引退」をテレビで発表され、本人の意思と関係ない形で決まってしまっていたようです。
極悪同盟からは抜けて、ベビーフェイスに転向するというような話もあったり、レフェリーに転向させられたり、その後、獄門党の覆面トリオとして突然復帰させられたりと、ユウさん本人は会社に振り回されていました。
そして、「極悪同盟」から追放された経緯は、ダンプ松本さんは私生活でも異常なほどに完全にヒールに徹していたのに対し、ユウさんはファンに手を振ったりとリングを降りれば優しかったため。
これについては、ダンプ松本さん自身がブル中野さんのYouTubeチャンネルで語っています。
検証⑩ ジャガー横田の命名は?
ドラマのシーン
ジャッキー佐藤の人気にかげりが出はじめたとき、WWWA世界シングル王者タイトルマッチで横田利美との対戦を組みます。
社長は、横田には負けるように指示し、ジャッキー佐藤をギリギリで勝たせることで、人気を復活させようと会社は画策。しかし専務は横田には勝てと指示、負けたジャッキー佐藤を引退に追い込みます。
そしてジャッキー佐藤との対戦後、専務のひと声で、横田利美から「ジャガー横田」に名前を変えられます。
全女のスター選手はみんなカタカナ。「ジャガー」というカタカナの名を付けられるということは、期待しているということだと、専務は横田を無理矢理納得させます。
実際は、ジャガー横田が全部否定
「極悪女王」を観ていたジャガー横田さんの夫・木下博勝さんが、このシーンについて本人に直接確認(笑)。その様子をSNSに投稿していました。
ジャガーさんが、ジャッキーさんの世界タイトルに挑戦するシーンで、会長に負けろと言われた
木下博勝公式インスタグラムより
こんな事あったの?と聞くと、無いよ!即答。
ジャガーと名乗れと言われたシーンも、違うし!
当時のリアルを知るレジェンドは、当時のリアルを色々と話してくれました。
「勝て」「負けろ」との指示は実際はなかったようですが、1981年のWWWA世界シングル王者タイトルマッチで、横田利美さんに負けたジャッキー佐藤さんは王座から転落。その後に引退したのは事実です。
一方で、王座についた横田利美さんは、正規軍「ダイナミックジャガーズ」でも名実共にエースとなり、シンプルにチーム名からとって「ジャガー横田」と、当時の部長によって名付けられたというのが真実です。
まとめ【極悪女王】どこまで実話でどこからフィクション?事実との比較10選
大人気ドラマ「極悪女王」が、どこまで実話でどこからフィンションなのかをまとめました。
大筋は実話ですが、面白くするための演出として、要所要所でフィクションが盛り込まれていて面白いですね。
今回ご紹介した実話と比較しながら、また違う視点でドラマを観るのもおすすめです!
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