はるな愛さんの半生を描いたNetflix映画『This is I』が話題となっています。
映画を観て、ダンスや歌に引き込まれた人、考えさせられた人、号泣した人など様々。
ドラマチックなストーリーは実話に基づいているだけに、どこまでが実話で、どこからが映画の演出や脚色なのか気になりますよね。
この記事では、『This is I』の原作の紹介と、実話と映画の比較を7選を紹介します。
この記事を読めば、物語の背景にある重厚な真実を知ることができ、作品への理解が120%深まるはずです。真実を知ったとき、あなたの目に映る映画のラストシーンは、きっと最初とは違う意味を持つでしょう。
※この記事はネタバレを含みます。
【This is I】原作は?
映画『This is I』には、単一の小説や漫画のようないわゆる“原作”は存在しません。
公式な発表によると、はるな愛さんと和田耕治さんの2人の人物の生き方を記した2冊の書籍を原案として構成されています。
いわば、異なる視点から描かれた2つのノンフィクションが“原作ポジション”を担っています。
「素晴らしき、この人生」はるな愛・著(講談社)
この書籍は、タレントとして活躍するはるな愛さんの自叙伝。
テレビでは語り尽くせなかった壮絶な半生が綴られており、幼少期のいじめ、父親との葛藤、そして覚悟を決めて臨んだ性別適合手術など、彼女が「自分(I)」として生きるまでの苦難と希望の道のりが詳細に記されています。
「性同一性障害を救った医師の物語」和田耕治・著、深町公美子・構成(方丈社)
かつて大阪で「赤ひげ先生」と慕われ、日本の性別適合手術の先駆者となった医師・和田耕治さんの生涯を追ったノンフィクションです。
まだ日本で手術がタブー視されていた時代。
「法律や社会が許さないといっても、目の前の患者を救うのが医師の信念」と語り、600人以上の手術を執刀した和田医師の哲学と、53歳で急逝するまでの激動の記録がまとめられています。

性別適合手術の扉を開いた「2人の実話」
「This is I」は、自分らしく生きたいと願う当事者(はるな愛さん)と、リスクを背負ってでも彼らを救おうとした医師(和田耕治さん)の2人の実話を融合させることで誕生しました。
劇中ではフィクションのような劇的な展開が含まれていますが、その根底には日本におけるジェンダー医療の歴史を動かした、血の通った真実が存在しているのです。
【This is I】実話と映画の比較7選!ネタバレあり
比較エピソード①幼少期の女装エピソード
映画のシーン
幼少期のケンジは、家や学校、神社のお祭りで、女の子の格好でお化粧をして松田聖子さんの「夏の扉」を歌うシーン。
そんなケンジに向かって、同級生の男の子たちは「男オンナ」「変なやつ」と冷やかしますが、「私は来たい服着て 歌いたい歌うたってるだけやん」と返します。
実際のエピソード:無理やり女装させられたと嘘
映画では、「自分の来たい服を着る」という主張がはっきりしているのに対し、中学時代に女装していたことを聞きつけた同級生の男の子からいじめられるように。
比較エピソード②冗談酒場の人々との出会い
映画のシーン
女の子になりたいのになれない自分、そして同級生からの壮絶ないじめに悩んでいたとき、えびす橋でショーパブ「冗談酒場」のアキ(演:中村中)を見かけます。
きれいな人だけど、普通の女の人じゃない気がして・・・と、アキの後をつけて行ったことが「冗談酒場」のニューハーフの人々との出会いでした。
それがきっかけで、自分の居場所をみつけたケンジは、家族に内緒で冗談酒場で働くことになりました。
実際のエピソード:知り合いが冗談酒場に連れて行ってくれた
はるな愛さんのご両親が経営するスナックのお客さんが、モヤモヤしている愛さんを見兼ねて、「賢ちゃんと同じ人がいる」と連れて行ってくれたお店。
壮絶ないじめを受けていた愛さんでしたが、ショーパブで自分の居場所をみつけた途端、不思議といじめはなくなったのだとか。
ご両親には内緒でこっそり働いていた愛さんでしたが、そのお店のCMに出演したことがきっかけで親バレしてしまいました。
比較エピソード③母との確執
映画のシーン
ケンジは、女の子として生きていきたいと両親に打ち明けるために2人を呼び出しましたが、父(演:千原せいじ)だけがやってきます。
町内会の寄り合いがあるから来られなかったと言う母(演:木村多江)。
そして認めてくれたものの「おかあちゃんには言うな」と釘をさす父。
ケンジと母は、その後もギクシャクした関係ではありましたが、陰ながら応援していた母は、東京のケンジの家を尋ねて和解します。
その時、母は「ケンジ」ではなく「愛」呼んだことで、本当の自分を母が受け入れてくれた、と涙を誘うシーンでもあります。
実際のエピソード:母には言えなかったはるな愛
はるな愛さんは、こういう生き方をしたいということを、お母さんには告白できずに、お父さんだけに言えました。
映画と同じく、父は「母には言わないでおこう」と言ったものの、その夜、両親の間だけで家族会議が行われたのだとか。
その後、お父さんの暴力がきっかけでご両親は離婚。お母さんは家を出て、しばらく愛さんと彼氏のタクヤさんとの同居することに。
それから少しずつ時間が経ち、愛さんが一生懸命働いているところを見て少しずつ理解を示すようになります。
また、ある日再婚した母の家を訪ねた時、お風呂場の脱衣場にピンクのクマのパジャマをお母さんが用意してくれていました。
お母さんは、はるな愛さんのことを、精一杯女の子として迎えて、準備してくれていたのだといいます。
比較エピソード④上京のきっかけ
映画のシーン
性別適合手術を受け、女性の体となったアイ。しかし子供が産めないことを理由に彼氏のタクヤの家族から、別れてほしいと懇願されます。
程なくして、アイを可愛がってくれていた祖母が亡くなります。
「ケンジは強い子や。自分の好きなように生きるのがええんや」と、祖母がよく言っていたことを知ったことをきっかけに、タクヤと別れて上京を決意します。
実際のエピソード:飯島愛のさそい
関西のテレビ番組でレギュラーで出演していた頃、飯島愛さんと仲良くなったはるな愛さん。
美しくてキュートで、芯がある飯島愛さんとはるな愛さんは気が合い、飯島さんから「東京に来たら?」と誘ってくれたのが、上京のきっかけなのだそう。
比較エピソード⑤ほっしゃん。の役どころ
映画のシーン
上京するも思うように仕事がなかったアイは、スナックのバーのママとしても働いていました。
そのお店に、常連客として訪れる芸人Hとして、ほっしゃん(星田英利)が出演しています。
芸人Hは、劇中では具体的な名前は明言していませんが、アイを応援しているお客さんのひとりとして描かれていました。
実際のシーン:ほっしゃんははるな愛にプロポーズした
1998年に上京したものの、思うように仕事はなく芸能事務所を転々とする間に、愛さんは小さなバーを始めました。
制作会社や芸人が多いエリアだったため、多くの芸能人が口コミで集まっていたなかに、ほっしゃん。もいました。

ほっしゃんは当時、開店から閉店(閉店後はゴミ出しまで手伝うほど)まで、ずっと入り浸っていたのだそう。
「私は男だから・・・」といって断っても信じられず、お店の営業許可証や免許証を見て納得したのだといいます。
しかし、それでも諦めきれず、男女ではなく人間愛として付き合おうと提案したものの、やっぱり振られたのだそうです。
比較エピソード⑥エアあやや誕生のきっかけ
映画のシーン
アイが、小泉今日子さんのライブ映像を見ながら、ライブのセリフを全部覚えて口パクで真似をしているのを見かけた芸人H(演:ほっしゃん)。
芸人Hは、それをネタでやったら面白いと、アイに勧めます。
それをきっかけに、アイは松浦亜弥のライブ映像の口パクモノマネの練習を始めました。
実際のエピソード:声が出なくなり口パクをしたのがきっかけ
はるな愛さんの務めるスナックの余興として、当時は声を出して歌もうたっていましたが、無理がたたり声が出なくなりました。
スナックの収入が生活の糧だったのもあり、声が出ないことによってお客さんが減るのは困ると思った愛さん。
ネタになるか分からなかったけど、やってみようと一歩踏み出したことが、結果的に大きな武器になったのだそうです。
その後、お店の常連だった藤原紀香さんの結婚披露宴の二次会で、磨きをかけた「エアあやや」を披露。
そこで芸能関係者の目に留まったことが、はるな愛ブレイクのきっかけとなったのでした。
比較エピソード⑦和田医師のお墓の場所
映画のシーン
過労で亡くなった、アイの性別適合手術を行なった和田耕治医師(演:斎藤工)。
映画でのラストシーンは、アイが海の見える美しい丘に、ぽつんとある和田医師のお墓へお参りに行くシーン。
墓石には「Koji Wada」とアルファベットで書かれ、スタイリッシュな墓標となっています。
実際のエピソード:場所は普通の墓地
はるな愛さんは、自身のブログやSNSなどで、毎年和田医師のお墓参りに行っていると語っています。
映画では幻想的な丘の上の墓標として描かれていますが、実際は多くの墓石に囲まれた平穏な墓地に和田医師眠っています。
しかし、はるな愛さんが今も毎年墓参に訪れ遺族と交流し続ける姿は、映画以上に深い現実の絆を感じさせます。
まとめ
はるな愛さんの半生を描いた映画『This is I』は、はるな愛さんと和田耕治医師の記録をベースに、ドラマチックな演出を加えて描かれた感動作です。
上京のきっかけや、エアあやや誕生秘話などなど、劇中には映画ならではの脚色も多く見られますが、大筋では大きな違いはありません。
真実の背景に触れた今、もう一度映画を観返して、その深い余韻を味わってみるとより楽しく鑑賞できるかもしれませんね!





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