Netflixで配信の小栗旬さん主演ドラマ「匿名の恋人たち」が話題を集めています。
気になるのは、「匿名の恋人たち」に、「原作はあるの?」「漫画や小説がもと?」という点。
実はこの作品、漫画でも小説でもなく、フランスとベルギーの合作映画『匿名レンアイ相談所』(原題:Les Émotifs anonymes)をリメイクしたドラマなんです。
2010年に公開されたオリジナルは、チョコレート工場で働く“恋に臆病な男女”を描いたロマンティックコメディ。
舞台を日本に移したドラマ版では、キャラクター設定やテーマがよりリアルに再構成されています。
この記事では、「匿名の恋人たち」の原作映画との違い、そして日韓合作でリメイクされた理由などを解説します。
ドラマ「匿名の恋人たち」の原作はある?
Netflixオリジナルドラマ「匿名の恋人たち」には、漫画や小説といった日本発の原作は存在しません。
タイトルや設定から“漫画が原作なのでは?”と感じる人も多いようですが、このドラマは海外映画のリメイク作品です。
チョコレート工場を舞台に、恋愛に不器用な男女のぎこちない恋を描いたロマンティックコメディで、公開当時はヨーロッパを中心に高い評価を受けました。
海外でも高く評価されている『匿名レンアイ相談所』。
上記のインスタグラムの投稿では、映画の繊細な雰囲気や主演二人の魅力について熱く語られています。
出典:Instagram(@tano_reviews)
日韓版「匿名の恋人たち」は、この映画のテーマやキャラクターをベースに、舞台を日本に移したリメイク作品。つまり、「匿名の恋人たち=海外映画の日本版アレンジ」と言えるでしょう。
次の章では、原作となったフランス映画『匿名レンアイ相談所』がどんな作品なのか、詳しく紹介していきます。
映画「匿名レンアイ相談所(Les Émotifs anonymes)」とは?
フランスとベルギーの合作として2010年に公開された映画『匿名レンアイ相談所(原題:Les Émotifs anonymes)』は、繊細でシャイな男女の恋を描いたロマンティック・コメディです。
日本版(日韓合作)『匿名の恋人たち』の世界観やテーマの原点ともいえる作品で、フランスらしい上品なユーモアと温かさが特徴です。
2010年公開のロマンティックコメディ
『匿名レンアイ相談所』は、ジャン=ピエール・アメリス監督によるロマンティック・コメディ映画。

画像出典:Georges Biard, Jean-Pierre Améris Cabourg 2011, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
2010年12月にフランスで公開され、観客から「心がほっとする恋愛映画」として高く評価されました。フランス映画祭でも上映され、ヨーロッパ各国でヒットを記録しています。
チョコレート工場で働く二人の“不器用な恋”
物語の舞台は、フランスの小さなチョコレート工場。
天才ショコラティエでありながら極度のあがり症を抱えるジャン=ルネと、同じく社交不安を抱える女性アンジェリクが出会うところから物語が始まります。
二人はお互いに惹かれ合いながらも、自分の感情を素直に伝えられず、何度もすれ違ってしまう——。
そんな“心の不器用さ”が、ユーモラスで愛おしく描かれています。
主演はブノワ・ポールヴールドとイザベル・カレ

主演を務めるのは、ベルギー出身の人気俳優ブノワ・ポールヴールド(Benoît Poelvoorde)と、フランスを代表する実力派女優イザベル・カレ(Isabelle Carré)。
ポールヴールドは繊細でどこか頼りない男性像を魅力的に演じ、イザベル・カレは控えめながらも情熱的な女性を繊細に表現しています。二人の“ぎこちない距離感”が、まさにこの映画の温かさそのもの。
まるでチョコレートのようにほろ苦く、優しい余韻を残す名演です。
日韓版『匿名の恋人たち』との違い
フランス映画『匿名レンアイ相談所』を原作に、日本版『匿名の恋人たち』では舞台設定やキャラクター構成が大きくアレンジされています。
控えめで不器用な大人の恋というテーマは共通していますが、文化や時代背景を反映し、日本らしい設定に変更されているのが特徴です。
舞台設定の違い フランス→日本
フランス・ベルギー合作映画『匿名レンアイ相談所』の物語は、パリの小さなチョコレート工場を中心に展開されます。
映画にはパッサージュ(屋根付き商店街)など、パリらしい街並みが登場し、静かで落ち着いた洗練された雰囲気が漂っています。
一方、日本版『匿名の恋人たち』では、東京の都会的なチョコレートショップ「ル・ソベール」が物語の中心となる一方で、上高地や軽井沢、甲斐といった美しい田舎でも撮影され、自然豊かな景色が恋愛シーンに彩りを加えています。
都市の洗練された空間と、日本の田舎ならではの穏やかで美しい風景が組み合わさることで、二人のぎこちない恋愛に多彩な雰囲気が演出されています。います。

キャラクター構成・性格のアレンジ
フランス版の主人公は、男性がベルギー人、女性がフランス人。どちらも極度のあがり症や不器用さを抱えており、チョコレート作りを通して心を通わせます。
日本版では、小栗旬演じる藤原壮亮は潔癖症、ハン・ヒョジュ演じるイ・ハナは韓国人で視線恐怖症という設定です。
フランス/ベルギー版
- 主人公:ジャン=ルネ…極度の社交不安障害をもつチョコレート工場経営者
- ヒロイン:アンジェリーク…極度の社交不安障害をもつチョコレート職人
日本/韓国版
- 主人公:藤原壮亮…幼い頃の経験から、極度の潔癖症に悩む。大手製菓メーカーの御曹司で「ル・ソベール」の新社長
- ヒロイン:イ・ハナ…人からの強い視線に耐えられない視線恐怖症に悩む。天才ショコラティエ
二人ともチョコレート作りに情熱を注ぎつつ、障害や苦手な部分が恋愛の障害となる点は共通ですが、性格や職業の設定が日本向けに最適化され、視聴者が感情移入しやすいよう工夫されています。
さらに日本版では、赤西仁演じる高田寛と、中村ゆり演じるアイリーンの二人も、それぞれ問題や悩みを抱える設定。メインカップルに並行して描かれるもう一組のカップルとしてストーリーに深みを加えています。
高田は「ル・ソベール」近くのジャズバーのオーナーで長年不眠症に悩み、アイリーンは精神科医で恋愛に臆病でアルコール依存など不安定な面があります。
問題を抱える追加カップルによって、恋愛の不器用さや心理的葛藤がより多面的に描かれ、ドラマ全体に厚みが生まれています。
設定年齢が違う?
フランス映画版の主人公たちはかなり年配(?)の大人の恋愛という印象があります。
一方、日本版の主人公の小栗旬さんとハン・ヒョジュさんのふたりは、とても若々しい印象です。
しかし『匿名レンアイ相談所』が公開された2010年時点で、主演のブノワ・ポールヴールドは1964年生まれの47歳、イザベル・カレは1971年生まれの39歳。
一方、2025年10月時点で、小栗旬さんは42歳、ハン・ヒョジュさんは38歳。
といったように、フランス版と日本版で設定年齢の差はほぼ同世代。両作品とも、40代前後の大人の恋愛がテーマとなっています。

フランス版はアラカンくらいの超大人同士の恋愛かと思ってたよ・・・笑
「匿名レンアイ相談所」が日韓でリメイクされた理由は?
フランス/ベルギーで生まれた名作『匿名レンアイ相談所』が、今度は日本版としてよみがえります。
監督は『君の膵臓をたべたい』の月川翔さん、主演は小栗旬さんと韓国のハン・ヒョジュさんという豪華タッグ。制作は、韓国の有名制作会社YONG FILMが担当していて、まさに日韓の才能が集結した作品です。
でも、なぜこのタイミングで日本版を作ることになったのでしょうか?
そこには、“不器用な大人の恋”という普遍的なテーマと、SNS時代ならではの「匿名でつながる関係」という現代的なキーワードが関係していそうです。
「不器用な大人の恋愛」という普遍的テーマ
『匿名レンアイ相談所(Les Émotifs anonymes)』は、極度にシャイで生きづらさを抱える男女の恋を描いた物語。
この「不器用な大人の恋愛」というテーマは、国や時代を超えて共感を呼ぶ普遍的なもの。
日本版『匿名の恋人たち』では、コミュニケーションに問題を抱える大人たちが少しずつ心を通わせていく過程を、繊細かつ温かく描いています。
フランス映画が持っていた可笑しみや優しさはそのままに、日本人ならではの「他人との距離の取り方」や「心の壁」をリアルに描くことで、より共感性の高い作品に仕上げられています。
SNS時代にこそ刺さる“匿名”という設定
タイトルにもある「匿名」は、現代社会を象徴するキーワードでもあります。
ヒロインのイ・ハナは、天才的なショコラティエでありながら、人の目を見ることができないという視線恐怖症を抱えています。
そのため、ハナはかつての師匠が営むチョコレート店「ル・ソベール」で、正体を隠した“匿名ショコラティエ”として働いてきました。
この「顔を出せないけれど、自分の才能を活かす」という設定は、まさに今の時代にぴったりです。
SNSでは、自分の名前や顔を出さずに発信したり、匿名で交流したりする人が増えていますよね。
コミュニケーションに苦手意識を持つ人が多い現代だからこそ、“不器用でも、自分らしく”という気持ちに共感する人がきっと多いはずです。
なぜ日韓合作?
今回のリメイクは、韓国の制作会社「ヨンフィルム(Yong Film)」が企画・制作を手がけ、日本のNetflixが配信を担うという国際的な共同プロジェクト。
監督は日本映画『君の膵臓をたべたい』で知られる月川翔氏、主演は日本の小栗旬と韓国のハン・ヒョジュ。まさに日韓のトップスターが共演する話題作となりました。
この制作スタイルは、韓国の制作ノウハウ(Kコンテンツの制作システム)が海外に輸出された新しい形とされ、業界からも注目されています。
また、近年では二階堂ふみ主演『Eye Love You』のように、国境を超えたロマンスドラマが成功しており、その流れを受けた作品ともいえます。
「文化や言語の違いを越えて惹かれ合う二人」という構図は、グローバルな視聴者にとっても魅力的であり、日本×韓国という新しいロマンティックコメディの形を提示しています。
まとめ:「匿名の恋人たち」原作は?リメイク元フランス映画「匿名レンアイ相談所」との違いを解説
小栗旬さん主演のネットフリックスドラマ『匿名の恋人たち』。
原作は漫画や小説ではなく、フランス・ベルギー合作映画『匿名レンアイ相談所』のリメイクでした。
舞台やキャラクター設定が日本版らしくアレンジされており、オリジナルを知っているとドラマをより深く楽しめるのではないでしょうか?


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