2025年後期の朝ドラ「ばけばけ」で、高石あかりさん演じる松野トキのモデルとなっているのが小泉セツ(小泉節子)です。
小泉セツは、文豪・小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の妻として知られ、夫の文学活動を支えた重要な存在でした。
夫の死後も家族や八雲に関する活動を続け、静かな晩年を送りましたが、1932年に脳溢血で64年の生涯を閉じました。
ここでは、小泉セツの死因や晩年の暮らし、そして生涯の歩みを簡潔にご紹介します。
小泉セツの死因 ― 脳溢血で64年の生涯を閉じる

新宿西大久保の自宅で逝去
享年64歳です。
60歳を過ぎてからは動脈硬化に悩まされており、倒れることもありましたが、家族の支えを受けながら晩年を過ごしていました。
孫たちに見守られながら穏やかな最期
亡くなる直前には、親友の篠田夫人や長男の一雄夫妻が介護にあたり、孫たちも枕元で見舞いました。
家族に囲まれ、静かで穏やかな時間の中で息を引き取ったと伝えられています。
八雲と並ぶ雑司ヶ谷墓地に埋葬
セツは、夫である小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)が眠る「雑司ヶ谷霊園」に葬られました。
今も二人は並んで眠り、その足跡を後世に伝え続けています。
雑司ケ谷霊園・小泉八雲の墓
所在地:東京都豊島区南池袋4丁目25
晩年の小泉セツの暮らし
夫の霊前に薔薇を供え、謡曲や茶道を楽しむ日々

小泉セツは1891年に小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)と結婚し、三男一女の4人の子どもをもうけました。
しかし夫婦生活はわずか13年で幕を閉じます。1904年(明治37年)、八雲は心臓発作により54歳で急逝。
八雲は生前から「遺産はすべて妻に譲る」と遺言しており、そのおかげでセツは西大久保の自宅や書斎をそのまま守り続け、経済的にも比較的恵まれ、子どもたちを育てながら暮らしを営んでいきます。
晩年のセツは、夫の霊前に八雲の好きだったクリーム色の薔薇を供え、謡曲や茶道に親しむなど、落ち着いた日々を過ごしました。
「小泉八雲夫人」として過ごした穏やかな時間

出典:Wikimedia Commons, 作者:Rihei Tomishige(1837–1922)、撮影年:1892
1914年には、セツが八雲との日々を語った「思い出の記」が、田辺隆次の著書『小泉八雲』に収められて出版されました。
これは夫の業績を後世に伝える貴重な証言となり、セツ自身も「小泉八雲夫人」としての立場を守り続けることにつながります。
彼女は家族や友人との交流を大切にし、八雲の文学と精神を支え伝える存在として、静かで穏やかな晩年を送りました。

小泉セツの生涯
名家に生まれ、士族没落の時代を生き抜く
小泉セツ(戸籍上は小泉節子)は1868年2月4日(慶応4)、出雲松江藩の家臣小泉家の次女として生まれました。
生後7日で親類で子供の無かった家禄100石の稲垣家の養女になります。
しかし、時代はちょうど士族が没落していく転換期。稲垣家は士族没落の時代に経済的に困窮し、11歳の頃から生家の機織会社で織子として働くことになります。
18歳で婿養子を迎えて結婚しましたが、夫は生活の苦しさに耐えられず出奔。22歳で正式に離婚して小泉家に復籍し、再び家計を支える日々を送りました。
ハーンと出会い、夫婦として歩んだ13年
1891年、松江に英語教師として赴任していたラフカディオ・ハーン(のちの小泉八雲)の家に、住み込み女中として仕えることになったのが二人の出会いです。
やがて結婚し、熊本・神戸・東京へと移り住みながら、三男一女をもうけました。
1896年には、ハーンがセツの戸籍に入夫する形で正式に結婚。英国籍を捨てて日本に帰化したハーンの決断には、愛する妻と子どもを守りたいという強い思いが込められていました。
夫婦として共に過ごした時間はわずか13年でしたが、その間セツは家庭を守り、夫を支え続けました。
語り部として八雲の文学を支えた存在
物語好きだったセツは、幼少期から口承で聞き覚えた民話や怪談を語ることを得意としており、それが八雲文学に大きな影響を与えました。
代表作『怪談』に収められた多くの作品は、セツが語った日本各地に伝わる伝説、幽霊話などを、ハーンの独自の解釈を加えて情緒豊かな英語の文学作品として再話したもの。

「この本は、みなあなたのおかげで生まれた本です。世界で一番良きママさん」
ハーンはこのように語り、セツの存在に深く感謝していました。
二人は「ヘルン言葉」と呼ばれる独特な日本語で意思疎通を行い、互いの信頼関係を育みながら文学を共に築き上げたのです。
まとめ:小泉セツの死因は脳溢血!ばけばけ松野トキのモデル64年の生涯
小泉八雲を支え、数々の怪談や日本文化の伝承に大きな役割を果たした小泉セツ。
64年の生涯を閉じるその日まで、彼女は家族と共に静かに暮らし続けました。
脳溢血により命を落としましたが、その語りと生き方は、八雲の作品や「ばけばけ」のモデルとして、今もなお受け継がれています。
朝ドラ「ばけばけ」は大幅に設定を変えたフィクションとして描かれる予定ですが、こちらもどのようなストーリーになるか楽しみですね!





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